このお酒の第一印象は、青リンゴのような爽やかさがあります。時間が経つにつれて、旨味が増して酸味と甘味、旨味がバランスよく調和して、完成度の高いお酒に変化していくのは興味深いです。

このお酒は、りんごの花から分離された花酵母を使用しています。この花酵母は、りんご酸を多く生成する特徴があり、そのため、きれいで後味が軽いといった特徴のお酒に仕上がります。まさにりんごの花の香りを感じさせる日本酒ですね。

また、氷温貯蔵で熟成させることで、艶やかな個性よりも落ち着いたバランスの良い味わいに仕上がっているのかもしれません。このようなりんご酵母を使った日本酒は他ではなかなか味わえないので、ぜひ一度試してみる価値があります。

天吹酒造は、米作りが盛んな九州・佐賀平野に位置する佐賀県三養基郡みやき町に1688年から続く酒蔵です。東京農業大学で酵母を研究した現在の社長である11代目が、「日本酒の入口になるような酒を造りたい」との思いから、2000年に他社に先駆けて新しい酵母「花酵母」を取り入れ、全国で愛飲される「花酵母の酒蔵」へと成長しました。

取り扱う約14種類の花酵母は、それぞれ味わいや香りにはっきりとした違いがあり、個性豊かです。柔らかく華やかな香りのものから力強く味わい深いものまで、多種多様な顔を持ち、日本酒の既成概念を覆す斬新で個性的な味わいの酒を生み出します。

また、農薬・除草剤・化学肥料を一切使わない合鴨農法で栽培された地元の酒米を使用したり、水質検査を徹底して一番良い水が取れる深さの地層から脊振山系のまろやかな伏流水を汲み上げたりと、米や水にもこだわり、300年の歴史の中で蓄積された技術を駆使して、香り高い美酒を追求しています。